『筋筋膜性腰痛』というキーワードをたまに聞きますがあまり意識したことがなかったので調べてまとめておきます。
ご自分が筋筋膜性腰痛と考えている方には参考になる部分もあると思いますので最後まで読んでみてください。
筋筋膜性腰痛の原因は、一般的に腰の筋肉や筋膜にスポーツなどで急激に負担がかかった場合、また姿勢不良などで慢性的に持続的な負荷がかかった場合に発症すると考えられています。
筋や筋膜に急激なストレスを受けたり持続的なストレスに耐えられなくなったことで、「筋や筋膜が損傷する」という認識でよいと思います。急に発生するぎっくり腰も筋筋膜性腰痛の一つと考える先生もいるようです。
筋筋膜性腰痛は原疾患がなくても発症するもの(筋と筋膜が単一の原因となるもの)と、原疾患(椎間板や腰椎に問題のあるもの)があり二次的に発症するものが考えられます。
筋筋膜性腰痛の治療は、
などが選択されることが一般的なようです。病院のリハビリで運動療法が選択されたり、ご自分でストレッチで対処されたりする方もいるようです。
温めたりコルセットを使用したりすることも考えられるようですが、保存療法(切らない治療)が主であり、外科的療法は一般的ではないようです。
そう考えると筋筋膜性腰痛は概念も対処法もかなり幅のある症状だと言えます。
さて、かなり世間に認知されつつある筋筋膜性腰痛ですが、その起源は昭和23年に京都府立医大の整形外科教授の先生が提唱したことに始まります。
当時の腰痛についてのシンポジウムの様子がわかる資料を読むと、概念の発生する瞬間を垣間見ることができるようでとても面白いと思います。少し時代が古かったり専門用語が多くて難しいかもしれませんが興味のある方は読んでみてください。
(シンポジウムの中で医師同士が議論をしている様子は、「腰痛」というものは今も昔もはっきりしたことがわかっておらず、専門家が色々思いを巡らせたり研究したり対立したり苦悩しているようで見ものです。先人もこうやって患者さんのために頑張ったんだなと再確認しました。)
この中で提唱者の先生は、狭義(狭い意味)の筋筋膜性腰痛と広義(広い意味)の筋筋膜性腰痛をわけて考えていますが、現在普通に使われる「筋筋膜性腰痛」という言葉は広い意味で使われていると考えていいと思います。
狭義では、患部に「親指の先ほどのサイズの筋硬結(しこり)が認められ、押すと強い痛みがある」とありますが、自分の持っていた筋筋膜性腰痛のイメージとは全くとは違いました。
資料から、また現代の風潮から、レントゲンなどの画像で骨や関節に異常がなく、筋肉や筋膜に原因が疑われた場合は広く筋筋膜性腰痛という言葉が使われていると考えられます。
前述の通り、広い意味ではかなり広範囲に使われそうな言葉です。なにせ筋肉と筋膜に原因が疑われれば筋筋膜性腰痛と名前がついても何もおかしくないのですから。
また筋や筋膜が炎症していることを原因と考えることもありますが、「筋筋膜炎」と名付けられる状態は根拠があいまいであると米国医療政策研究局に指摘されています。(AHCPR:Acute Low Back Problems in Adults,1994より)
腰痛の原因は分類できないものがほとんどであり原因がはっきりしないものも多いことは以前の記事でもまとめましたが、よくある普通の腰痛が定義のあいまいな筋筋膜性腰痛と名付けられることは結構多いのではないかと予想しています。
ある意味で「原因の受け皿」的役割を果たしてくれているようにも感じます。
以上のことから筋筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜に原因が疑われたときにかなり広い意味で使われる言葉もしくは状態であり、筋に付随する軟部組織(柔らかい組織)への負荷が原因となり発生する腰痛とされています。
腰についての負荷については議論の余地があり、筋筋膜性腰痛をはじめとする腰痛の分類や概念なども根拠をもとに考え直す余地がまだまだあると思います。
病院で「骨には異常がない」と言われた人がネットで情報収集して、たまたま当てはまった筋筋膜性腰痛を自己診断名として採用することもおそらくあるでしょう。
本当に筋肉や筋膜が傷んでいるのか?炎症が起こっているのか?本当にそれが痛みの原因か?普通の人と自分でなにが違うのか。このあたりを真剣に考えないといけません。
しかしあまりにも原因に固執していると、回復のためにやるべきことを見失うことがよくあります。
普通の腰痛でも筋筋膜性腰痛でも原因不明の腰痛でも、基本的にやるべきことは一緒だと考えています。一通り原因について考えたら、今度はいかに改善させるかに頭を向けましょう。
この記事が考えるきっかけになってくれたらうれしいです。
この記事を書いた人
夏目幸宗(柔道整復師)
慢性腰痛やぎっくり腰などの腰痛改善アドバイスに強みを持つ接骨院です。科学的根拠にもとづく腰痛対策を提唱実践しています。
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