骨盤矯正って意味ある？意味ない？（豊田市・夏目接骨院腰痛ブログ）

骨盤矯正をお求めになってお問い合わせをいただくことも多いので、腰痛患者さんに関わりのある骨盤矯正について夏目接骨院の考え方をまとめておきます。

結論から言うと、骨盤矯正に「意味がある」と思っている人には意味があって、「意味がない」と思っている人には意味がないです。

価値を感じる人には価値があって、価値を感じない人には価値がないと言えます。

占いを信じる人は「当たった！」というのが真実になりうるのに比べて、占いを信じない人なら興味も持たない、という状態に近いです。

ブランド物が大好きな人がブランド物に価値を感じて、一方興味のない人はブランド物に見向きもしません。

骨盤矯正もそういうものだと思います。

「骨盤矯正に意味はない」というと、意味ある派の人は「え～！」と思ったり、中には怒りを感じる人もいるかもしれませんが一度冷静に考えてみましょう。

「矯正する」ということは正しい位置から逸脱している骨盤を「正しい位置に矯正する」ことを意味するのだと思います。

が、「骨盤の正しい位置」とは一体どういうことでしょう？左右対称？それとも前後の傾斜？

わかりやすくするために頭蓋骨の話をしましょう。「正しい頭蓋骨の形」ってあると思いますか？ありませんよね、そんなもの。頭の形が「きれいかどうか」と「正しいかどうか」は別です。

人それぞれ違う、という表現が妥当だと思います。

では骨盤の話に戻しましょう。骨盤においても人それぞれ違いますから全人類共通の「正しい骨盤の位置」という概念はありません。

もし、大きな事故などで骨盤の機能が果たせないような損傷もしくは欠損があれば話は別ですが、普通に暮らしていて骨盤の機能が破たんすることはちょっと考えづらいと思います。

※出産による恥骨結合離開や骨盤輪の不安定で痛みがある場合は産婦人科や整形外科で相談しましょう。

そもそもの話ですが、骨盤は左右非対称であることが普通です。骨盤に限らず人体は厳密に左右対称ではありません。

顔も、右手と左手も、左右の乳首も、足の爪の形も、「左右全くおんなじ形だ」という方は挙手してください。そんなことありませんよね？

人体は絶妙なバランスで成り立っています。「まあまあおんなじだけどちょっと違う」くらいで普通に成立して普通に機能しています。

「いや！そんなことはない！」と思う方はもう僕に説明できることはありません。途中ですが全身ビッチビチに左右対称になれる方法を探してきてください。

と、ここまで思いっ切り「意味ない派」の意見を述べてしまいましたが、ちゃんと理由があります。

（骨盤の関節は左右の恥骨（前側）と仙腸関節（後ろ側）しかないですが骨盤矯正の議論の的になりやすい仙腸関節について述べます）

• 仙腸関節の障害を医師でも正確に診断するのが困難（診断基準が確立されていない）
• 世界の腰痛ガイドラインで骨盤矯正や仙腸関節の障害が言及されていない（国際的には無視されている）
• 仙腸関節を固定する手術で良好な成績が得られていない（じゃあ手で矯正する意味は？）
• 確立された手技療法と改善率が不明
• 手では仙腸関節の位置を変えるのは不可能
• 原因（骨盤の異常）と結果（症状や不具合）の因果関係が証明できないことがほとんど

「じゃあなんでこんなにも骨盤矯正が普及してるの？」と思うのは当然です。神社もお寺も占いも、人がなにかを成したいと思考し営むことに根拠はいらないのかもしれません。信じる人がいる限りそれなりに評価され残るものはたくさんあります。

ただ、自分の身体のことですから根拠ある情報を活用してほしいという気持ちはあります。まずはデータのあることから始めて、それで全然ダメなら新しいことにチャレンジするのはその人その人の自由だと思います。

さて、夏目接骨院では骨盤矯正のお問い合わせをいただくことが多々ありますが、ほとんどの場合お断りしています。（というか骨盤矯正自体やっていません。）

その理由は「夏目の提供できることと患者さんの求めることが違う可能性が高い」からです。

たとえば、骨盤矯正の目的として「妊活」や「ダイエット」の効果を求めてお問い合わせいただくこともあるのですが、夏目には骨盤矯正をして妊娠を促したり痩せさせたりするテクニックやノウハウがありません。（ごめんなさいm(__)m）

ワンチャンいけたとしても割の合わない博打を打たせるのはどうも気が進まないのです。

こういったお問い合わせをされる方はおそらくですが「『骨盤が整えば』妊娠しやすくなる」とか「『骨盤が整えば』痩せやすくなる」といった思いが強いのだろうと思います。

そういった方はこう考えてみてください。骨盤のゆがんでいる人が全員妊娠しないのか？骨盤がズレている人が全員太っているのか？私と同じような姿勢の人は私と同じ体の悩みを持っているだろうか？

もちろん、みんなそれぞれ違いますよね？

目的に達するための手段までもが目的に組み込まれてしまうと、視野がグッと狭まります。他に手段があるかもしれないのにもったいないです。

また、「骨盤矯正めっちゃ効いた」という人がいることも事実です。ただ統計的なデータがない以上「効いた」という事実はその人だけのものであなたに当てはまるかどうかわかりません。よくある「個人の感想であり効果を保証するものではありません」というやつです。

それに名前こそ骨盤矯正と謳っていても、実際のところ骨盤の矯正が行われたことで効果が出たのか、別の要因（筋肉がほぐれた、ストレッチ効果があった等）で効果が出たのかは不明です。

骨盤を矯正することが正義だと考えている人もいますから骨盤矯正自体は否定しません。でも骨盤矯正で「なにを得たいか」はしっかり考えてみてほしいと思います。

「目的」と「手段」を分けて考えること、「手段」に根拠があるか確認することがポイントです。

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