腰痛の原因は本当に「椎間板」なのか？（豊田市・夏目接骨院腰痛ブログ）

今回は腰痛の原因としてよく話題になる椎間板の話です。複数の調査から本当に椎間板が腰痛の「犯人なのか」考えてみましょう。

腰痛の原因として「椎間板が潰れている（変形している）」という現象は非常によく言われることです。私も腰痛の相談を受けていて何度聞いたかわかりません。

椎間板の問題は「歪み」「ヘルニア」「骨の変形」に匹敵するほどメジャーな原因として腰痛でない人にも話が通じるほど有名です。

腰痛の人が腰痛でない人に「椎間板やっちゃって」と言うと、「ああ、それはお気の毒に」と言われるほど原因として定着しています。

しかしそれでは椎間板が悪い人は最後通告を受けたようで希望が持てません。「椎間板がおかしくても」腰痛が解決できるようにまずは情報を集めましょう。

日本の理化学研究所が2013年に「腰部椎間板変性に関与している遺伝子を発見」したことはご存知でしょうか？

https://www.riken.jp/press/2013/20131009_2/index.html

難しいことは省きますが、理研はこの発見によって今後病態の解明に期待ができるとしていて、椎間板変性の治療法の確立が待ち遠しいですが、今痛みのある人はそれを待ってはいられません。

ではこう考えてみましょう。

「遺伝子が関係しているということは変形自体はなるべくしてなっている」

と言われると「遺伝ならどうしようもないじゃないか」とお思いになるかもしれませんが、その通りです。椎間板の変性に関与する遺伝子が発見されたのですから、椎間板が変形することは人間にとって「織り込み済み」なわけです。

また過去に115組の双子（一卵性双生児）を対象にした調査では、椎間板変性は不良姿勢・車の運転・喫煙などとは無関係で遺伝子の影響を受けているとする報告もあります。（Battle MC.et al Spine 1995）

椎間板の「変形」は人間の行動（仕事や生活）によってもたらされるものではなく生きていれば自然になるもの、というわけです。遺伝子が関係しているというと大ごとのように思えますが、要は人によって「なる人はなる」ということです。

しかしここで考えなければならないのは椎間板が痛みの原因かどうか、ということです。

理研の資料にも出てきましたが椎間板変性の生涯罹患率は80%ということですから、ほとんどの人が椎間板が変形する（もしくはすでに変形している・痛みが出る前から変性していた）と考えてよいでしょう。椎間板変性はもはや生理現象と言っても過言ではありません。

言葉は良くないですが「椎間板の劣化」と腰痛は無関係で、椎間板に良くないとされる持ち上げ作業などの負荷は良くないどころか有益という報告もあります。

（健常者41名をMRIで5年間追跡した結果、椎間板変性のある方が腰痛発症率は低い:Elferling A. et al, Spine,2002）

（自動車製造業・救急隊員・事務職などで働く男性149名をMRIで1年間追跡した結果、椎間板変性と腰痛は関連なし:Savage RA. et al,Eur Spine J,1997）

これまで当たり前に「椎間板をやってしまったから腰痛がある」と考えられてきましたが、実はそうでもないかもしれないことがわかってきています。

痛みがあることは事実としても、研究報告を見ると椎間板が犯人かどうかは怪しいと言わざるをえません。

「痛みに対処すること自体」が問題の解決につながる可能性がありますから、椎間板が悪いと言われたからといって諦めずにできることからはじめてみることを強くおすすめします。

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